無理なお願いをされた際に感じよく接客をするコツ
接客をしていると、無理なお願いをするお客様もいらっしゃいます。
その時、どのような接客をすれば悪い印象を与えないのでしょうか。
日ごろ接客をしていると、いろんなタイプのお客様が来店されるので「そんなお願いされても無理だよ~」と感じることをおっしゃるお客様も時にはいらっしゃいますよね。
その場合、どのように対応をすれば印象よく接客することができるのでしょうか。
ここでは、無理なお願いをされた際の接客のコツについて一緒に見ていきましょう。
無理なお願いをされたときの対応① ~断る~
お客様から無理難題を要求されたとき、あなたはどのように対応しますか?
「そちらはできかねますので…」とお断りすることもありますか?
例えば、個人情報など法律などに関係してしまい、どうしてもお応えできないような要求も中にはあると思います。
その場合、結果として同じ「お断り」だったとしても、伝え方によって感じる印象がまったく異なります。
では、どのようにお客様にお伝えすれば「お断り」を感じよく受け止めていただけるのでしょうか。
それにはコツがあります。
たとえば、ホテルのフロント業をイメージしてみてください。
親戚を名乗る方から、「身内がこのホテルに泊まっているはずだから教えてほしい」と言われたとします。
しかし、ホテル業の場合は、個人情報につながるため、宿泊されている方の情報をお伝えすることは規則で一切できないこととなっています。
その時、こんなやりとりをしたとしたら、あなたはどう思いますか?
親戚の方「●●という親戚がここのホテルに泊まっているはずなんだけど」
フロント「申し訳ございませんが、ご宿泊されている方の情報はお伝えすることができません」
親戚の方「何で、ダメなの?親戚なんだから教えてくれたっていいじゃない。」
フロント「そうおっしゃられましても、宿泊されている方については個人情報となりますから」
親戚の方「個人情報って、あなた、私は親戚なのよ。親戚が泊っているかどうかを聞いてどうこうしようって言うわけ?」
フロント「いえ、まさかそんなことは申し上げておりませんが…」
この場合、いらっしゃった親戚の方は不快な思いをされてしまいました。
では、ここでのフロントスタッフの間違った対応はどこだと思いますか?
この場面では最初からお客様に対し、真正面から「お伝えすることはできない」と主張してしまっていますよね。ここがひとつの原因になってしまいます。
お客様は、必ずしも正しいことをお伝えすれば納得するわけではありません。
では、どのようにすればいいのでしょうか。
次は良い例をみてみましょう。
親戚の方「●●という親戚がここのホテルに泊まっているはずなんだけど」
フロント「申し訳ございませんが、ご宿泊されている方の情報はお伝えすることができません」
親戚の方「何で、ダメなの?親戚なんだから教えてくれたっていいじゃない。」
フロント「確かに親戚というお立場であれば、私どもからお断りにご納得いただけないお気持ちは当然のことです」
親戚の方「そうよ」
フロント「ですが、お客様、大変申し訳ないのですが、たとえ親戚の方のご依頼であっても、当ホテルでは、ご宿泊者様の安心を一番と考えており、ご宿泊者様の情報はお伝えすることができないことになっております」
親戚の方「そうなの?困ったわね」
フロント「私自身、お気持ちはとても理解できるのですが、私どもの方からお伝えすることができないため、ご本人様に直接のご連絡いただくなど、他の手段でお確かめいただくことをお願いできますでしょうか。」
親戚の方「仕方ないわよね、わかりました。」
フロント「ありがとうございます。私にできることであれば、何なりとお申し付けくださいませ。」
いかがでしょうか。
ここで大切なのは、お客様がこちらに要望している気持ちに対して“共感”を示すことです。
そのうえで企業として個人情報を守ることはどういうことなのかという姿勢を伝えるようにします。
なお、途中で「親戚の方のお立場であれば」というように、「~の立場であれば」というように相手の方を尊重していました。
ここで、お客様の立場を尊重しているという態度を言葉で示してから、「~ということをお願いできないでしょうか」と協力を求めると、より無理難題に対してお客様はスムーズに受け取っていただきやすくなります。
無理なお願いをされたときの対応② ~本来の要望をくみ取る~
あなたが、仲の良い友人から無理なお願いをされたとします。
もしそのお願いが、助けてあげたくてもどうすることができないことだったとしたら、あなたはどうしますか?
大切な友達であれば「どうしてそんなお願いをしてきたのだろう…」とか「他に何か助けられる方法は無いかな」など、別の解決策を探すなどして、どうにかして助けてあげようとするのではないでしょうか。
先ほどのように、個人情報を教えてほしいという問合せは対応することはできませんが、ルールとして対応できないこと以外のことには極力「できない」ということはお伝えしないことを目指していくことは非常に大切です。
例えば、こんなエピソードがあります。
京都の鴨川沿いにある老舗の料亭に、連絡が入りました。
「海外のお客様をお連れするから、京都の川床で懐石料理を食べさせてあげたい。だから●月●日に予約をしたい」
というものでした。
しかし、その時間帯は予約でいっぱい。
そこで、すぐ断るのではなく、まずはお客様の本来のご要望は何だろう?と考えてみたそうです。
お客様はそのお店の川床料理をご希望いただきましたが、本来のご要望は外国の方に日本の風物詩を体験させることなのではないか?と考えたそうです。
その本来のご要望を叶えられるお店に頭を巡らせ、
「当店が信頼している京都の老舗旅館なら、日本庭園を見ながらお食事ができる場所があります」と、
川床料理では体験できない日本の風物詩を体験できるかもしれないと、ご提案したそうです。
そうすると、そのお客様は喜ばれて、後日お礼の電話まできたのだとか。
私たちスタッフは、お客様がおっしゃったご要望に対して、ついそのご要望自体に対して動きがちです。
でも、すこし立ち止まってみてください。
そのご要望には、本来の要望があり、お客様が口にした言葉が、私たちには無理なお願いに聞こえているだけかもしれません。
どうしたらお客様の要望を叶えることができるのか、ということを考えていくことで、たとえ最初の要望が叶えられなかったとしても、お客様は私たちの接客を感じよく受け取っていただけるのではないでしょうか。
まとめ
私たちが関わるお客様はいろんな方がいらっしゃいます。
そして、いろんなご要望をいただき、時にはどうしても叶えられないことをお願いされることもあるかもしれません。
そんな時は、最初から「できません」とお断りするのではなく、まずはお客様の立場に立って“共感”する。もしくは「本来のご要望はなんだろう?」と考えて別の案をご提案してみる。
一人ひとりのお客様に寄り添った接客をすることが、無理難題をおっしゃるお客様へ“感じの良い接客”と受け取っていただけるのではないでしょうか。
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