新人・新卒スタッフが入ったら、最低限おさえたい接客マナーと研修内容
あなたのお店では、新人マナーを教える研修はありますか。もし個別で指導する際は、新人に何を伝えればいいのでしょうか。
学生アルバイトや、新入社員が入ってきた際、あなたのお店では最低限の接客マナーの指導基準はあるでしょうか。
もしかすると、働き方や会社の決まりを伝える場面はあっても、基本の接客マナーを、時間を取ってお伝えする、ということはない店舗もあるかもしれません。
ここでは、新たに採用された新人・新卒スタッフが最低限押さえておきたい、接客マナーをお伝えしていきます。
「今のところ社内での集合研修はないけれど、自分で教える必要がある!」という店長やリーダーの方がいらっしゃる場合も、参考にしていただければと思います。
新人・新卒スタッフが押さえるべき最低限の接客マナー5つ
新人や新卒スタッフは、もしかすると過去に接客経験がないという場合もあります。
私たちが当たり前だと感じていることも、こちらから教えないと、新人や新卒スタッフには分からないというのはよくあることです。
そこで、まずは新人・新卒スタッフが押さえるべき最低限の接客マナーをお伝えしていきます。
これらは接客経験の有無にかかわらず、対お客様の仕事に就く場合は必ず実践していただきたい内容です。ポイントは5つです。
- 接客業の身だしなみ
- 笑顔の意識
- 接客時の姿勢やお辞儀
- 接客7大用語
- 接客で使う基本的な敬語の使い方
次のセクションからは、具体的にこれらを1つ1つ見ていきましょう。
接客マナー1:接客業の身だしなみ
接客業に関わらず、身だしなみを整えることは大切なことです。
なぜなら、身だしなみがあなたのみならず、お店全体の第一印象を大きく左右してしまうからです。
“第一印象は出会って数秒で決まってしまう”ということをご存知でしょうか。
例えば、スーパーで買い物をしている時を想像してみてください。おいしいお菓子のパッケージがボロボロだったら…あなたは買おうと思うでしょうか?
それと同じで、どれだけやる気があっても、あたたかい気持ちを持っていても、外から見える部分、つまり身だしなみが整っていなかったら、いくら内面が素敵でも、お客様からは共感や信頼を得、数あるお店のなかから選ばれることはできません。
きっと接客に携わっている方は「お客様に喜んでもらいたい!」「お客様に居心地よい場所を提供したい!」と素敵な心を持っている方がたくさんいらっしゃるはずです。
ですので、まずは簡単に取り組みやすい、そしてすぐに改善しやすい「身だしなみ」を新人や新卒スタッフにお伝えしましょう。
なお、身だしなみとおしゃれは違います。おしゃれは、自分が好きな洋服を着る、いわば“自分目線”です。
しかし一方で身だしなみとは、“相手目線”になります。つまり、『相手がどう思うかによって判断される』ものなのです。
身だしなみには3つの押さえておくべきポイントがあります。
- 清潔感…相手から見て清潔だと感じられる
- 機能性…動きやすく、仕事がしやすい
- 調和…業種、場所、状況など周囲の人との調和がとれている
以上の項目から、あなたの会社や店舗に合った身だしなみを考えてみましょう。
接客マナー2:笑顔を意識するのは接客の基本
誰かと初めて会った時、あなたは相手のどこを一番初めに見ますか?
服装、持ち物、態度、などを見る方もいらっしゃると思いますが、多くの方は“表情”を見るのではないでしょうか。
例えば、仏頂面の人と笑顔の人を見たとき、あなたはどちらの方が好印象を抱くでしょうか。もちろん、笑顔の方が良い印象を抱く方が多いと思います。
先ほどの身だしなみも第一印象に大きく関わってきますが、いくらみだしなみが整っているからと言っても、まったく笑顔のない対応をされたら不快な気持ちになりますよね。だからこそ、顔の表情は常に意識をして笑顔をキープする、ということを心がけてみましょう。
でも、このようにお伝えすると、「笑顔の重要性はもう耳にタコができるくらい聞いているよ!」という方もいらっしゃるかもしれません。
でもちょっと待ってください。あなたの笑顔は口角を上げることだけを意識していないでしょうか?
試しに、近くにあるお手持ちのもので口元を隠して鏡に向かって笑ってみてください。
いかがでしょうか。あまり笑っているようには見えない方が多いのではないでしょうか。
「目は口程に物を言う」とはよく言ったものです。お客様を心から歓迎している、ということをお伝えするためにも、ぜひ目もとも笑っている笑顔を意識しましょう。
そうするだけで、とびきり素敵な笑顔となり、お客様からの第一印象がグンと上がるはずです。
ではどうすれば、目もとも笑えるようになるのか、ここでは簡単なトレーニング法をお伝えします。目が笑えないのは、表情筋が凝り固まっているせいです。なので、思いっきり顔を動かして顔の筋肉を柔らかくしましょう。
やり方はとっても簡単。
まずは目をギューっとつぶり、口もギューッとして、あなたの顔を中心に寄せるイメージで動かしてみてください。それを5秒かけて行います。
今度は口、目、眉毛などすべてを顔の外へ広げるイメージで5秒かけて動かしてください。これらを3セットから5セット行いましょう。
そうするだけで、普段使っていない筋肉を動かすことができ、顔全体がスッキリすると思います。
普段あまり顔を動かしてないかも!という方、そして新人・新卒スタッフが入ってきたら、ぜひトライしてみましょう。
接客マナー3:接客時の姿勢やお辞儀
姿勢が悪いと、なんだか自信がなさそうに見えたり、すっきりしない印象を与えてしまいます。逆に姿勢がいいと、頼りになりそうな印象や、誠実な印象を与えることができます。では、よい姿勢にするにはどこを意識すればよいのでしょうか。
ポイントは3つです。
- 足の角度…男性はかかとを付けて、つま先を60度開く。女性は右足をやや後ろへ。
- 手の位置…男性はズボンの縫い目に中指がくるように、手を揃えて。女性はおへそあたりで左手を上に組む。
- 頭、おしり、かかとが一直線になるように意識する。
研修でお伝えするときは、壁や棒を使って、一直線になっているかを体感させるようにすると分かりやすくなります。
続いて、お辞儀です。
お辞儀には3種類あります。
- 会釈…約15度の礼。「失礼します」「かしこまりました」「お疲れさまでした」などの言葉と一緒に使います。
- 敬礼…約30度の礼。「いらっしゃいませ」「少々お待ちくださいませ」「お待たせいたしました」「よろしくお願いいたします」などの言葉で使います。
- 最敬礼…約45度の礼。お見送りをする際や感謝を伝えるとき「ありがとうございました」や、相手にお詫びを伝える際「申し訳ございません」などの言葉と一緒に使います。
お辞儀をする際は、“メリハリ”をつけるようにしましょう。そうすると、よりスマートでさわやかな印象を与えることができます。頭を下げるときは早く、一拍おき、頭を戻すときはゆっくりと動かすことを意識するだけでメリハリがあるお辞儀になります。
また、先ほどの姿勢でもお伝えしたように、お辞儀をする際も頭と腰が一直線になるように意識しましょう。
なお、頭と腰が一直線にならずに頭が先に下がってしまう方や、猫背のままお辞儀する方などが多く見受けられます。なかなかお辞儀の様子を自身で確認することはできないですよね。そこで、一度どなたかにお辞儀をしている様子の動画を撮ってもらうことをおすすめします。すると、意外とできていないことに気付けるはずです。
接客マナー4:接客7大用語
既に接客業に携わっている方であれば、一度は聞いた事があるかもしれません。一方で新人・新卒スタッフは使い慣れない言葉の可能性もあります。
ちなみに接客7大用語とは…
- いらっしゃいませ
- 少々お待ちくださいませ
- かしこまりました
- お待たせいたしました
- 申し訳ありません
- 恐れ入ります
- ありがとうございます
この7つです。
なお、この接客7大用語をただ言葉だけでお伝えすると、どのような場面で使ったらよいのかイメージがつかず、いざ実践しようとしてもなかなかうまくいきません。
新人・新卒スタッフに伝える際は「いつ、どのように使うのか」という使う場面も一緒にお伝えするようにしましょう。
また、接客7大用語をただ復唱させるだけでも実践的ではありません。
現場に出たときにお客様に好印象を与えるには、先ほどお伝えをしたお辞儀や、笑顔、表情を添えると気持ちが伝わりやすくなります。研修で指導するときは、この3つをセットでお伝えすると即実践型の内容となるでしょう。
接客マナー5:接客で使う基本的な敬語の使い方
学生から社会人となると、みなさん壁にぶつかる敬語の使い方。これは口に出して慣れることが習得の一番の近道です。
まずは、よく使う敬語を押さえておきましょう。
用語 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
---|---|---|---|
いる | いらっしゃる、おいでになる | おる | います |
する | なさる、される | させていただく | します |
言う | おっしゃる | 申し上げる | 言います |
聞く | お聞きになる | 拝聴する、うかがう | 聞きます |
見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
知る | お知りになる、ご存知だ | 存じる、承知する | 知っています |
思う | お思いになる | 存じ上げる | 思います |
行く | いらっしゃる、おいでになる | うかがう | 参ります |
来る | いらっしゃる、 おいでになる、見える |
参る | 来ます |
会う | お会いになる、会われる | お目にかかる | 会います |
食べる | 召し上がる | いただく、頂戴する | 食べます |
研修で伝える際は、「いる」「する」などの用語を示したうえで、尊敬語・謙譲語・丁寧語を穴埋め形式にして書いてもらいましょう。すると、意外と敬語ができていないことが分かるはずです。
しかし、なぜ敬語を使うことが大切なのでしょうか。
例えば、「お客様がいらっしゃいました」と他のスタッフに伝えようと思ったのに、「お客様が参りました」と言ってしまったと考えてみてください。
直接お客様に対して直接敬語を使っているわけではないのに、お客様が不愉快に感じてしまう場合もあるのです。
お客様に対して敬語を直接使う場合も、そうでない場合も、まずは基本の使い方を新人や新卒スタッフに知ってもらいましょう。
新人や新卒スタッフは敬語が使い慣れていない方が多いので、まずは口に出したりするなど、敬語に触れさせる機会を多くして、慣れてもらうことが大切です。
まとめ
いかがでしょうか。新人・新卒スタッフが最低限押さえておきたい接客マナーを主に5つに分けてお伝えしてきました。
どれもこれも基本的なことばかり…と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
骨組みが立派な家を建てたとしても、地盤がしっかりしていなければ、いざという時に家は崩れてしまいますよね。それと同じように、基本的な接客マナーができていないのに、その上にいくら立派な接客トークやクロージング技術を身に付けたとしても、活かされることはありません。
この先、新人・新卒スタッフがより輝いていけるように、まずは基本的な接客マナーを伝え、できていないことは繰り返して身に付けるように周りの先輩方が指導する。
みなさんが協力して新人や新卒スタッフを育てていく、ということが大切なのではないでしょうか。
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