接客マナーは同じではダメ!?業種別事例(受付窓口、営業、飲食、医療編)
『接客』と一言で表しても、さまざまな業種・業態があります。
全業種同じ接客マナーでお客様に満足していただけるのでしょうか。
「接客で大切なのは笑顔!」「第一印象を大切に!」「あいさつは基本!」など、接客マナーと聞くと一般的に提唱されていることが思い出されます。
しかし、『接客』とひとくくりにしても、飲食店での接客や医療現場での接客など、接客には関係しているけれど全く異なる業種が世の中にはたくさんあります。
果たしてこの異なる業種・業態で同じ接客マナーを実践していてよいのでしょうか。お客様にセールスする営業は営業職ならではの、受付ではお客様をお迎えする受付業務ならではの接客マナーがありそうです。
ここでは、受付(窓口)、営業、飲食、医療の4つのジャンル分けで接客マナーの違いについてみていきます。
受付(窓口)業務ならではの接客マナーとは
あなたは受付、窓口業務にはどのようなイメージがありますか。
例えば、デパートや百貨店でのインフォメーションコーナーを思い浮かべてみてください。カウンターに座っている女性は、いつも素敵な笑顔です。
デパートや百貨店でわからないことがあれば、気軽に聞ける、そして丁寧に教えてくれる。そのようなデパートや百貨店ならではの、丁寧なそして高級そうな印象を抱く方が多いのではないでしょうか。
受付や窓口業務に就く方には会社のイメージ、姿勢を表現するという大切な役割があります。会社には表舞台に出てこない、裏方で働く方がたくさんいらっしゃいますが、そのような方々を代表して、一番目につきやすい受付や窓口を担当しているという思いを常日頃から意識しておかねばなりません。
なお、受付には立って対応するハイカウンターと、座って対応するローカウンターの2種類があります。どちらの場合であっても、待機している際は常にお客様から見られていることを意識し、軽くあごを引き、口角を上げて柔和な表情をすることをおすすめします。背筋をピンと伸ばすと信頼度がグンと上がりますので、姿勢も意識するようにしましょう。
例えば先ほどのデパートや百貨店でのインフォメーションの方が、背筋がダランとしていて仏頂面だったらいかがでしょうか。
なんでも気軽に相談しよう、とは思えませんし、「なんだかここのデパート感じが悪いな」と思われてしまう可能性もあります。
一人の印象がお店全体、会社全体の印象を左右する、ということを常に意識して受付や窓口業務にあたる、それが受付、窓口業務における接客マナーではないでしょうか。
営業ならではの接客マナーとは
営業職と、店舗での接客業の大きな違いがあります。それは、“お客様と接する場面”です。
店舗での接客業は、自らお店に足を運んでくださったお客様と接します。一方で営業職の場合はこちらからお客様のもとへ足を運ぶことが多いと思います。
接客業の場合、お客様自らお店に足を運んでくださっていますので、お客様は全くお店や商品に興味を持っていない、ということではないでしょう。
しかし、営業職の場合は、お客様が意図していない時に意図していないタイミングで面会し、場合によっては、全く必要としていないものについて提案、ご紹介をしなければなりません。
そのような状況を突破して、お客様に振り向いていただき、商品を購入していただくことが営業職の仕事であると言えるでしょう。
では、営業職に必要な接客(対人)マナーとは一体何でしょうか。先ほどもお伝えした通り、営業職は自らお客様のところに足を運びます。そしてお客様からお悩みや現在の状況などの情報をいただいて、それにマッチした提案を組立てていきます。
ですので、お客様の話を伺う際は、必ず「メモ」を取りましょう。
「お客様の前でメモを取ることは失礼なのでは?」と感じる方や、「メモをいつとったらいいのかタイミングが分からない!」という営業マンも見かけます。
でも、きっとメモを取っている営業マンの方が、お客様にとっては「熱心に私の話を聞いてくれているんだな」と感じるはずです。
例えば、あなたの体調が思わしくなく、病院に行ってお医者さんから診察を受ける時のことを想像してみてください。あなたがいつから体がだるくなってきて、いつから発熱して…と症状を細かく話しているのに、「そうなんですねー」とただ聞くだけのお医者さんがいたとしたら、あなたはどう思うでしょうか。
「本当に私のこと知ろうとしてくれているのかな」「もしかして、解熱剤だけ出せばよいと思ってないかな」と不安に思ってしまうかもしれませんね。
一方で、カルテに症状を事細かにメモしているお医者さんはいかがでしょう。私のことをちゃんと知ろうとしてくれるんだな、と安心感を覚えるはずです。
それと同じように、お客様の話をきちんと聞いていますよ、ということを示すためにも、そしてお客様が話してくださったポイントを記録して、提案内容を組立てられるようにするためにも、メモを取ることは、営業職にとって必要最低限なマナーと言えるでしょう。
飲食業ならではの接客マナー
飲食業がほかの業種と異なることはどのような点でしょうか。一番大きく違うのは、提供した商品が、お客様の「口に入る」ということです。
お店の清潔感や店員の身だしなみに最も気を使うべき業種だと思います。
なぜなら、もしお店に清潔感がなければ「こんなところで料理が作られているの?取り扱っている食品は新鮮なのだろうか?」と不安になったり、店員の髪の毛がだらしなくまとまりがなかったら「料理の中に髪の毛は入らないだろうか」「自分の髪の毛を触った手で料理を運んでくるの?なんだか食べたくないな…」と、お客様がシビアに判断をするからです。
あなたは窓のサッシにホコリがたまった店内で、おいしく食事がとれるでしょうか。爪の中が汚れているスタッフが運んできた料理をおいしく食べることができるでしょうか。
飲食店に携わっている方は、他の業界と比較してもなお一層“清潔感”ということに重きを置いて取り組んでみましょう。
また、アクセサリーや香水をつけるのもマナー違反です。
アクセサリーは誤って落として料理の中に入ってしまう場合もあります。匂いに関しては、料理は香りを楽しむ方もたくさんいらっしゃいますし、過度な香水は気分を害してしまうこともあります。アクセサリーや香水を避ける、という点でもほかの業界とは異なる部分ですね。
清潔な店内の環境があり、清潔感のあるスタッフに接客してもらって、「もう少し別な料理も食べてみたいな」「今度またこのお店に来て、同じ料理を注文しよう」とお客様は感じらると思います。
ぜひ店内もスタッフも、“清潔感”を意識した接客マナーを心がけましょう。
医療ならではの接客マナーとは
これまで見た業種・業態は主に「お客様」を相手にして行う業種でした。一方で医療の現場で接客する相手は「患者さん」やそのご家族、関係者となります。患者さんは心や体に不安を持つ方々が多く、大きな不安を抱えていらっしゃいます。
例えば、「この病気は治るんだろうか…」「医療費はどれだけかかってしまうんだろう」「診察を受けるのにどれだけ待たなくてはいけないんだろうか…」など不安は様々です。
そこで、医療の現場の接客マナーとしては、患者さんやそのご家族の不安を少しでも軽くする接客サービスを心がけることが大切です。
では、どのような接客を心がければよいのでしょう。
それは、「寄り添う接客」です。
例えば患者さんが日頃の病状を話しやすいように、目線を合わせましょう。患者さんが車いすを利用されている場合や、椅子に座っている場合は特に気を付けましょう。自ら腰を落として、目線を合わせます。立ったまま話すと、なんだか上から威圧的に話されているような感覚になってしまうためです。
これはまだ背が低いお子様の場合も同じです。腰を落として目線を合わせることで、話しやすい状況を作ることができます。
また、医療現場ではお子様やご年配の方まで、さまざまな方がいらっしゃいます。年齢によって話すスピードを変えてみましょう。
例えば、20代の患者さんに対する話し方と、80代の患者さんに対する話し方は変えますよね。80代の患者さんに対しては、話すペースをゆっくりにして、声のボリュームを上げた方が、より患者さんにとって聞き取りやすくなります。
会話がスムーズになることで、患者さんからしても「この人になら話しても大丈夫かな」と安心を与えることができるでしょう。
なお、いくら話すスピードを変えたからと言っても、専門用語を使ってばかりでは相手に話が伝わりにくくなってしまいます。なるべく専門用語は使わず、患者さんが理解できるような簡単な言葉で伝えることで、不安を減らすことにもつながります。
例えば、あなたが美容室に行ったと想像してみてください。
そこで担当の美容師さんにお任せのカットを依頼したとしましょう。そのお任せした美容師さんが「では、さっそくアウトラインを整えていきましょう。今日はアールシザーズでカットしていきますね。アンサンブルにした方がよりおしゃれになると思うけどどうですか?」などと言われても、「一体どんな髪型になってしまうんだろう…」と不安が募るばかりではないでしょうか。
同じように、あなたが医療の現場で使っている専門用語はなるべく使わず、患者さんが理解しやすいような一般的な言葉でお伝えすることを意識しましょう。
そうすることで、患者さんは「わかりやすい説明で、なんだか安心できそうだ」と感じてくださるはずです。
まとめ
いかがでしょうか。
一言で「接客マナー」と表現しても、業種や業態で異なる接客マナーのポイントがあることがご理解いただけたでしょうか。
しかしながら、業種は違えど「相手の立場に立っておもてなしの心で接する」「気持ちよく過ごしてもらうためにどうすればいいのかを考える」ということはどの業種・業態でも同じです。
ぜひ、あなたの業種・業態のお客様が求めていることは一体何だろう、ということを常に考えながら、その業種・業態で最適な接客マナーを実践してみましょう。
そうすることで、「またここに来たいな」「なんだか居心地がいいな」「安心して任せられそうだな」と、お客様に満足していただける接客となるのではないでしょうか。
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