試着室でのお客様への声かけと購入につながる接客のコツ
アパレル特有の試着室、あなたはうまく使いこなせていますか?
試着から購入につなげるための接客を、今日はご紹介いたします。
ファッション系(アパレル店や身に着けるものを取り扱う店)の接客では、お客様に試着をしていただくことに力を注いでいる方も多いと思います。
説明するまでもありませんが、試着をしてもらうことで商品のよさを感じてもらい、「欲しい!」という気持ちを高めるためですね。
しかしながら、試着室にご案内したあと、お客様が試着室から出てこなかったり、お一人で完結して終わってしまったり…その後の接客につなげられない販売スタッフの方が多いように感じます。
そこで、ここでは試着室での声かけと、購入につながる試着室での接客のコツについてお届けしたいと思います。。
試着室から出てきてくれないお客様への声かけのコツ
ほとんどのアパレル店にある試着室。商品のサイズが合っているのかどうか、ということも確かめていただけますし、何より、商品の良さを体感してもらうことで気持ちを高める効果があります。
しかし、試着室にご案内したお客様が試着したまま外に出てくる…ということは多くはないんですよね。私自身、一緒に買い物に付き合ってもらっている家族や友人がいたら、一度見てもらうために外に出ることはありますが、なかなか試着したまま外に出るということはしません。
「自分で鏡をみて確認したし、出ていく必要もないかな」
「外に出ても、スタッフの方がいないかも」
「一人で出て行って、周りのお客さんから見られるのがいやだな」
など、少しマイナスな思考になりやすいです。
しかし、スタッフの側からすると、「せっかく試着室にご案内したのに、出てきてくれない…」と思うことも多いはずです。なぜなら、洋服を着て試着室から出てきてもらえないと、そこに対してのアドバイスや、提案もできないため、お買い上げにはつながりにくいからです。
では、どうしたら試着室から出てきてもらえるのでしょうか?
試着室から出てきていただくには、お声がけにコツがあります。
それは、“試着室から出てくる理由をお伝えすること”です。
例えば、
「電気の当たり方によって色の見え方が変わります。ぜひ試着室から出てきたときの色みもご覧くださいね」
とお伝えしたり、
「ヒールの高い靴と合わせるとシルエットが生えるパンツです。靴もご用意したので、ぜひ外の大きい鏡で見てみてくださいね」
などです。
もしあなたが試着室にご案内する接客をする際は、ぜひお客様が試着室から出ることで気付けることや、知れることなど“得られる良さ”をお伝えしてご案内してみてはいかがでしょうか。
そうすることで、お客様は「外の大きい鏡で見たいから出てみようかな」「ヒールをはいた感じを確かめたいな」と、抵抗感なく外に出てきやすくなります。
購入につながりやすくなる、試着室から出てきたお客様への接客のコツ
お声がけをした後に試着室から出てこられたお客様は、服の色目などが気に入っているものの、デザインやフィット感を確認してから購入しようかどうか迷っていたり、今ひとつに自信が持てずに購入を迷っている場合が多いと感じます。
そこで、私たち販売員は、購入するのに確信が持てないお客様の背中をそっとひと押しするような一言が必要になります。
例えば、先日フラっと立ち寄ったお店で試着をした際にこんな体験をしました。
もともと気になっていたパンツの形だったけれど、急な出費になるしどうしよう…と、購入にあまり意欲的ではなかったのですが、思わず買ってしまったのです。
その時に、試着室の外で接客してくださったスタッフの方がこんな情報をくれました。
「私も以前同じパンツを買ったんです。すごく履き心地が良くて、色違いも買ってしまったんです。
ちなみに最初は黒を買いました。黒ってどんなトップスとも合わせやすいですし、
汚れも気にならなかったので、使い倒してしまいました。
黒を買ったすぐあとに、あまりにも履き心地が良くて色違いのグレーを買ったんです。
友人と食事に行くときや、これから春先になってパステルカラーを取り入れたいときにも重宝しました。
いい商品なのでクリーニングに出せば来シーズンも使えますよ」
※実際には途中会話を挟みながらでした
そのスタッフの言葉に、気づけば買う予定のなかったパンツ2本を紙袋に入れて帰宅していました。
スタッフの「私も同じ商品を購入して愛用している」というセリフだけでは、「だから何?」と思われてしまう言葉ですが、“使用しているからこそ伝えられるリアルな声”には大きな説得力があります。
自社の商品を着た際に「この商品のいいところはどこかな」「どのように着ることが多いだろう」などと、お伝えできるようなポイントを研究することも、日頃の接客に活きてくると思いますし、そう考えることで商品に愛着も湧いてくるので、ぜひ日常から意識してみるようにしてみてください。
【おまけ】試着室を整理する際のチェックポイント
試着をするということは、お客様にとっても、スタッフにとってもひと手間です。しかし、その手間を惜しまないでお客様にたくさん試着していただき、コミュニケーションをとっていくことで、お客様の満足度や、「欲しい!」という気持ちを高めることができます。
実は“購入するまでのおよそ70%が試着室で決まる”とも言われているのをご存知でしょうか。それだけアパレル店にとって試着室は大切なポイントになります。
そこで、ここからはお客様が過ごしやすい試着室づくりのポイントを、おまけとしてお伝えしていきます。
ぜひ、ご自身のお店の試着室と見比べてチェックしていだけるとうれしいです。
(1)試着室内がシンプルで清潔感がある
一日に何度もお客様が出入りする試着室。ホコリや髪の毛、汚れがたまりやすい場所でもあります。そこで、こまめに掃除をして、常に清潔感を保ちましょう。いくら説得力のあるトークをお伝えしても、ほこりっぽい試着室ではお客様の気持ちも高まりにくくなってしまいます。
(2)鏡の大きさが等身大で、全身を見ることができる
お客様が全身で商品を着た時のイメージができる様に、等身大の鏡は必須です。また、外にも大きめの鏡があることで、「ぜひ外の大きい鏡で見てみてくださいね」というお声がけもでき、外に出てきていただきやすくなります。
(3)プライバシーが守られている設計かどうか
試着室はカーテンや扉になっている場合など様々です。よくあるのは、カーテンがぴったりと閉まらずに、隙間ができている場合。これではお客様が安心して着替えることができません。
また、女性用と男性用に試着スペースが分けられていたり、中から施錠ができるようなアパレル店もあります。
(4)洋服を複数かけられるフックがある
試着する商品が複数点ある場合もあります。フックが1つだけではなく、複数あった方が持ち込んだ商品を一点一点丁寧に確認することができます。
(5)持参した貴重品または服を置けるスペースが十分にある
手ぶらで試着室に入るお客様は少ないでしょう。女性だったらなおのことです。バックやコート、試着するために脱いだ洋服などを置けるスペースを作ることで、整頓されたスペースでゆったりと試着することができます。
(6)商品が見えやすい照明になっている
試着室内に入ってみて、明るさをチェックしてみましょう。個室になっている試着室は、思いのほか外の光が入ってこないので、暗くなりがちです。お客様に商品を感じていただくためにも、商品が見やすい明るさの照明を意識してみてはいかがでしょうか。
まとめ
アパレル店において大きなポイントの一つである“試着室”での声かけと、購入に繋がる接客のコツのヒントをつかむことはできましたでしょうか。
「私がお客様だったら、どう感じるかな」というお客様視点を持って試着室をチェックしてみたり、試着室にご案内する際や、試着中でのお声がけを意識したり、日頃から商品の良さを考えてみることで、私たち販売員の接客が活きて、お客様の「欲しい!」がグンと高まるはずです。
フロアでの接客だけではなく、ぜひ、試着室での接客にもぜひ注目してみてください。
小売り・サービス業に特化した「成果にこだわる”超実践型”研修」
これまで、3000店舗以上のサポートをさせていただいており、継続的な研修を実践した店舗では、売上の平均伸び率120%以上の実績があります。
売上につながるだけではなく「あなたから買いたい」「またこのお店に来たい」そう思っていただける好循環の『売れる接客法』を身につけることができます。
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